あなたの「キャリア」「働く」を応援するメディア

produced by A.T.S Advanced Technology Service

「出向く」の意味と使い方|敬語での例文や多数の言い換え表現を紹介

「出向くって、本来どんな意味の言葉なんだろう」
「出向くの敬語表現はあるのかな?」
「他の言い方はできないんだろうか」

このように「出向く」という言葉を使う際に、何かと悩んでしまうという方も多いのではないでしょうか。

本記事では「出向く」の本来の意味と使い方を紹介します。また、ビジネスシーンなどで目上の人に対して使う場合の敬語表現(謙譲語、丁寧語、尊敬語)や、「出向く」の言い換え表現に加え、英語での表現についても、いくつかの例文を挙げながら紹介しています。

この記事を読み、日常的に使われる「出向く」の意味と正しい使い方を把握し、適切な使い方ができるようになれば、ビジネスシーンなどで迷うことも少なくなるでしょう。

「出向く」の正しい使い方がわからないと悩んでいる方は、ぜひ、この記事を参考にしてみてください。

「出向く」とは?

「出向く」とは、「自分から目的地に行くこと」「自分の方からある場所へ出かけて行くこと」を意味します。

この言葉の主体は「自分」であるため、「相手に自分のもとに来てもらう」のではなく、「自分が率先して相手のもとへ行く」というニュアンスがあることに注意しましょう。

「出向く」をビジネスシーンで使う場合

「出向く」をビジネスシーンで使う場合は「誰が行くのか」「どこへ行くのか」に注意し、状況に合わせて使うことが必要です。

本来は「自分から、ある場所へ行く」という意味ですが、ビジネスシーンで目上の人などの行動を表す場合は、様々な敬語表現に言い換えることができます。

例えば、自分を起点とした表現での場合は「私がお客さまのもとへすぐに出向くようにいたします」「私は、クライアントとの会食のため、〇〇へ出向きました」などと言えるでしょう。

また、上司など目上の人を起点とする場合は「〇〇さんは取引先との面談のため、空港へ出向かれました」と変化します。

他にも、「行きます」などの丁寧語、「いらっしゃいます」などの尊敬語、「参ります」「伺います」などの謙譲語に言い換えられるため、後述する敬語表現についても把握しておきましょう。

「出向く」の意味について

「出向く」の意味について

ここまで「出向く」をビジネスシーンで使う場合には、敬語に言い換えるなどの注意が必要ということを紹介しました。

続いて「出向く」の本来の意味について詳しく説明していきます。正しい意味を理解して仕事での会話に生かしましょう。

  • 自分が行くことを指す
  • 他の意味合い
  • 言葉の詳しい意味

1:自分が行くことを指す

「出向く」の基本的な意味は、「自分が行く」です。

そのため「自分から目的地に向かって行く」「自分からある場所に行く」「自分が相手のもとを訪れる」以外の意味はありません。

あくまでも行動の主体は自分のため「相手に来てもらうのではなく、自分が進んで相手のところへ向かって行く」という意味合いがある表現と言えるでしょう。

2:他の意味合い

「出向く」の本来の意味は「行く」ですが、使われる状況によっては、微妙なニュアンスを含む場合もあります。

例えば、会社の人事異動で耳にすることが多い「出向(しゅっこう)」という言葉ですが、使われ方によっては否定的に感じる方も多いのではないでしょうか。

「出向く」という言葉自体には上下関係を意識させる意味合いがなくても、人や場面によっては、暗に否定的な意味を込めて使われるケースもあるため、結果的にネガティブな印象を与える場合もあるでしょう。

3:言葉の詳しい意味

前述したように「出向く」には「自分のほうから、目的とする場所・地点にまで行く」という意味があります。「自分が」というのは、少し自意識が高いニュアンスも感じられますが、類義語は「行く」「参加する」「顔を出す」で、「目的地に行く」以外に本来の意味はありません。

しかしながら「わざわざここまで出向いて来てやった」「あなたが出向いて行くようなことではない」などの文脈でも使われることがあります。

この場合は、上から目線になり、どちらかというと否定的な意味合いを持っていると言えるでしょう。

「出向く」の敬語の種類

「出向く」の敬語の種類

「出向く」には、ビジネスシーンなど、相手と自分の立場によって変わる敬語表現があります。「誰が」「どこへ」行くのかという状況に合わせて「尊敬語」「謙譲語」「丁寧語」の3種類を使い分けましょう。

以下で「出向く」の敬語の種類3つについて紹介するため、ぜひ参考にしてください。

  • へりくだる謙譲語
  • 代表的な丁寧語
  • 目上の人への尊敬語

1:へりくだる謙譲語

1つ目の敬語表現は、「伺います」「参ります」などの謙譲語です。これらの言葉は「行く」の謙譲語のため、「出向きます」の言い換え表現と言えるでしょう。

謙譲語とは、相手よりもへりくだった言い回しをすることで、相手に対する敬意を表す敬語です。

2:代表的な丁寧語

2つ目の敬語表現は、「行きます」という丁寧語です。

丁寧語は、敬語の中でも日常的に頻繁に使われているもので、「です」「ます」が代表的な言い回しと言えるでしょう。

「出向く」の本来の意味が「自分から行くこと」のため、「行く」の丁寧語である「行きます」が敬語表現になります。

3:目上の人への尊敬語

3つ目の敬語表現は「いらっしゃる」「いらっしゃいます」などの尊敬語です。

「出向く」は自分を起点として「ある場所へ行く」という意味ですが、尊敬語の場合は目上の相手を起点として考えます。

この場合、「相手が行く」となるため、「行く」の尊敬語である「いらっしゃる」が敬語表現となると言えるでしょう。

「出向く」の敬語での使い方15選

「出向く」の敬語での使い方15選

続いて「出向く」の敬語での使い方について、15個の例を挙げて詳しく見て行きましょう。

それぞれの文章で用いられている「出向く」の主体は誰かなど、細かい部分に注意しながら紹介していくため、ぜひ参考にしてください。

  • 「行きます」
  • 「いらっしゃいます」
  • 「参ります」
  • 「伺います」
  • 「お出向きください」
  • 「ご足労いただく」
  • 「足を運ぶ」
  • 「お越し願う」
  • 「お見えになる」
  • 「あがります」
  • 「出向いていただく」
  • 「赴きます」
  • 「おいでになる」
  • 「いらしてください」
  • 「お訪ねする」

1:「行きます」

「行きます」は、「出向く」の丁寧語として、自分や相手の立場に拘わらずに使える表現です。

丁寧語は日常的に頻繁に使われる敬語で、語尾は「です」や「ます」が代表的でしょう。「行く」という意味の「出向く」を丁寧に言うと「行きます」となります。

例えば「会社に行きます」という表現の文章では「会社に行く」のは自分だけとは限らないため、主体が自分や同僚であっても上司であっても、同じ意味で使えます。

2:「いらっしゃいます」

相手を起点として「出向く」を表現する場合は、「いらっしゃる」「いらっしゃいます」という尊敬語になります。

例えば「来月のシンガポールへの出張には、社長がいらっしゃる予定です」などのように、目上の人が「ある場所へ行く」場合に使える尊敬表現です。

3:「参ります」

「参ります」は、自分が目上の人のところへ出向く際に使う謙譲語です。

例えば「明日の午前10時に御社へ参ります」という文章では、自分の行動をへりくだった表現で表しています。

「参る」という謙譲語は、自分以外に、身内の行動についても使うことが可能です。この場合は、相手方に対してへりくだる意味で使うため、自分の上司にあたる第三者の行動として、「部長の高橋が御社へ参ります」などのように使えます。

ただし、相手の行動を表す時に謙譲語を使うことはできないため、注意が必要です。

例えば、来社するお客さまについて「渡部様が本日参られます」というような使い方は間違いです。この場合は、前述の「いらっしゃいます」を使いましょう。

4:「伺います」

「伺います」は、自分が相手を訪問する時に使う謙譲語です。自分を起点として使う表現として覚えておきましょう。使い方としては「明日御社へ必ず伺います」「午後5時に伺っても宜しいですか」などのように使います。

ただし「参ります」のように、第三者を起点とした使い方はできないため注意が必要です。例えば「弊社の鈴木が参ります」は問題ありませんが、「弊社の鈴木が伺います」は使用しないようにしましょう。

また「今月海外に参ります」とは言えますが「今月海外に伺います」のような「伺います」の敬意の対象が行先の場合は使えません。使い方には十分注意しましょう。

5:「お出向きください」

「お出向きください」は、自分ではなく「立場が上の人」が「行く」または「自分のところへ来てくれる」場合の敬語表現になります。

この言葉には「自分のところに来てほしい」という気持ちが含まれているため、相手がこちらへ来てくれることに対する敬意を表す表現と言えるでしょう。

例えば、「機会があれば、ぜひこちらにお出向きください」などの使い方ができます。

6:「ご足労いただく」

「ご足労いただく」とは、「わざわざ出向いていただく」という意味があります。こちらから「出向く」のではなく、わざわざ相手の方が「出向いてくれる」ことへの感謝と恐縮の気持ちを表した尊敬語です。

「足労」とは「足を疲れさせること」というニュアンスが転じた「足を運ばせる」という意味で、そこに「ご」をつけた丁寧な表現が「ご足労」になります。

例えば「弊社までご足労いただくことで宜しいでしょうか」「ご足労いただくことになりますが、宜しいですか」などのような使い方ができます。

7:「足を運ぶ」

「足を運ぶ」とは、「わざわざ出向くこと」と言う意味です。相手が自分のところにわざわざ出向いてくれた時に、お礼の気持ちを込めて尊敬語として使います。例えば「遠くまで足を運んでいただき、ありがとうございます」などです。

「わざわざ」という意味が含まれているため、自分を主語として使う場合は注意が必要です。例えば、「先生のご自宅に足を運びたいと思います」は先生に対して失礼にあたります。

また、会社などで「お客さまのところへ足を運びました」と同僚に話すのは問題ありませんが、「そちらに足を運びます」は、お客さまの前では失礼になります。この場合は「そちらに伺います」と言い換えましょう。

8:「お越し願う」

「お越し願う」は「来る」を表す「お越し」と第三者に何かを依頼する時に使う「願う」が組み合わさった敬語表現です。「出向いてもらう」の言い換えの尊敬語となります。

ビジネスシーンなどで、「こちらにお越し願います」のように使われます。「こちらに出向いてもらうこと」を依頼し、それに対する相手の動作への敬意を含んだ表現と言えるでしょう。

9:「お見えになる」

「お見えになる」は、目上の人を起点とした「出向いて来る」を言い換えた尊敬語です。

あくまでも起点は目上の人で、自分より立場が下の人や自分には使えないため注意が必要です。「自分以外の目上」に使うことを覚えておけば間違いが少ないでしょう。

例えば「昨日、社長がお見えになりました」「今日の午後、お客さまがお見えになります」などのように使えます。

10:「あがります」

「あがります」は、「行く」の謙譲語のひとつで、「出向きます」の言い換えの敬語表現になります。これは「自分から相手のもとに出向く時」に使う表現のため、自分以外の人を起点として表現はできません。

例えば「今日の夕方、荷物をお届けにあがります」「説明にあがります」などのように使います。「上がります」と漢字で書いても間違いではありませんが、ひらがな表記の方が一般的でしょう。

11:「出向いていただく」

「出向いていただく」は、「出向く」に謙譲表現の「いただく」を組み合わせた敬語表現です。

この場合、「出向く」のは自分以外の第三者である目上の人、場所などを起点として使うことに注意しましょう。

使い方としては、「ぜひ一度出向いていただくようお願いします」など、自分のところに出向いてほしい場合の表現と、「〇〇に出向いていただくようお願いします」など、自分のところ以外の場所に出向いてもらいたい場合の表現の2通りがあります。

12:「赴きます」

「赴く」とは、「目的を持ってある方向へ行く」という意味で、「赴きます」は「出向きます」を丁寧語に言い換えた表現です。

自分を起点として「明日、新天地へ赴きます」「現場に赴きます」などのように使います。また、自分だけではなく第三者の行動を表す「兵士が戦場へ赴きました」などのような使い方もできます。

さらに目上の人の行動に対しては「社長が午後〇〇に赴かれます」などのように、尊敬語に言い変えることもできる表現です。

13:「おいでになる」

「おいでになる」は「行く」「来る」の意味を持つ尊敬語です。

「目上の人がどこかへ行くこと」「目上の人が自分のもとへ来ること」など、ビジネスシーンで取引先が自分のところに来てくれるかどうか尋ねる場合に、「明日、弊社においでになりますか?」のように使います。

14:「いらしてください」

「いらしてください」は、「いらっしゃってください」を略した敬語表現で、相手に自分のもとに来てほしいと敬意を持って依頼する場合に使います。

例えば、「〇〇にいらしてください」や「ぜひ遊びにいらしてください」などです。

「いらっしゃる」は「行く」「来る」「居る」の尊敬語で、そこに「ください」がついているため、間違った使い方と勘違いする人も見られますが、正しい表現になります。

15:「お訪ねする」

「お訪ねする」の「訪ねる」は「出向く」と同じ意味のため、「お訪ねする」は「出向く」の謙譲語になります。

この場合も起点は自分で、目上の人のところへ行く時などに使います。例えば、「明日、ご自宅をお訪ねします」というように使えるでしょう。

「出向く」を使う時のポイント

「出向く」を使う時のポイント

「出向く」の基本的な意味は「行く」ですが、様々な類義語があり、ビジネスシーンなどでは場面に則した敬語表現や使い方があると言えます。

「出向く」を使う時のポイントは「目的の場所にこちらから行く」という意味をしっかりと認識した上で、「誰が」「どこへ」出向くのかをよく考えることでしょう。

例えば、言葉自体に否定的な意味合いはなくても、「わざわざ出向いてやった」「人を出向かせておいて」など、否定や非難に聞こえる使い方をされることもあります。

また、単純に「御社に出向きます」と言っただけでも、相手方が上から言われているような印象を持ってしまう可能性もあるでしょう。

本来の意味に「わざわざ」という意味が暗に込められているため、ビジネスシーンなどで使う場合は、類語に言い換えるなどの配慮が必要です。

ここまで見てきたように、「出向く」には類義語の敬語表現が色々あるため、「行く」と同じように使うと間違いが少ないでしょう。

「いらっしゃる」「いらっしゃいます」などの尊敬語、「伺います」「参ります」などの謙譲語、「行かれます」「行きます」などの丁寧語を上手に使ってみてください。

「出向く」の英語の表現

「出向く」の英語の表現

「出向く」を英語で言うと「go to」「visit」となります。

例えば、以下のような文章ができます。

・「I will go to your office tomorrow morning.」(明朝、御社に出向きます。)
・「I will visit your home this afternoon.」(午後にご自宅に出向きます。)

また、「ある場所へ目的を持って向かって行く」という意味では、「be」や「meet」なども使われます。

例文は以下のとおりです。

・「I will be there at 7:00 pm this evening.」(今夜7時に出向きます。)
・「I will meet you at your office tomorrow morning」(明日の午前中(朝)、御社に出向きます。)

「出向く」の意味と使い方や例文を参考にしよう

「出向く」の意味と使い方や例文を参考にしよう

本記事では、「出向く」の意味と様々な敬語表現、ビジネスシーンでの使い方を紹介してきました。「出向く」の本来の意味や、暗に込められたニュアンスなどを把握できたでしょうか。

シーンに則した「行く」「来る」の言い換え、様々な活用をともなう表現は、社内外での会話やメールなどに欠かせないものと言えます。

「出向く」の正しい表現を会得し、コミュニケーションスキルを高めるために、この記事をぜひ参考にしてみてください。

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

新着記事