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配偶者控除等申告書はなぜ必要なのか?記入方法や提出理由について詳しく解説

配偶者控除等申告書はなぜ必要なのか?記入方法や提出理由について詳しく解説

「年末調整の時期は面倒くさい」
「今一つ、書類の意味がわかりにくい」
毎年やって来る年末調整の時期になると、このように思う方は多いのではないでしょうか。

給与所得者が提出する年末調整書類には、「扶養控除等(異動)申告書」「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」「保険料控除申告書」があります。

今回この記事では「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書(以下、『配偶者控除等申告書』)」を取り上げ、扶養控除等申告書との違いや、書き方、金額の出し方などについてわかりやすく解説します。

これを読めば、『配偶者控除等申告書』がなぜ必要なのか、提出すると何が変わるのかがわかります。

毎年の年末調整で迷いたくない方、それぞれの書類の意義について知りたい方は読んでみてください。

「配偶者控除等申告書」と「扶養控除等(異動)申告書」との違い

「配偶者控除等申告書」と「扶養控除等(異動)申告書」との違い

年末調整で提出する書類のうち「配偶者控除等申告書」と「扶養控除等(異動)申告書」の違いについて解説します。名前が似ていて混同しやすいですが、それぞれの申告書が持つ役割は異なります。

「配偶者控除等申告書」は正式には「基礎控除申告書 兼 配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書」といい、3つの申告書が1枚に集約されたものとなります。

「扶養控除等(異動)申告書」は今年度分と来年度分の2枚が配られます。今年度分はその年の扶養控除の情報を確認するため、来年度分は所得税を源泉徴収する金額を概算するために提出します。

扶養控除等(異動)申告書とは?

「扶養控除等(異動)申告書」は、給与所得者、会社で働いている従業員がもらう給与から、扶養控除などを受けるために必要な書類です。

「扶養」とは、養うこと、自分の稼ぎだけでは生活していない、できない人を経済的に助けるという意味で、「控除」は、差し引くという意味です。つまり「扶養控除」とは養っている人がいる給与所得者の所得から一定金額を差し引いて、それにかかる税金を減らすということです。

その差し引く金額を決めるために「扶養控除等(異動)申告書」に必要事項を記入し提出する必要があります。

出典:[手続名]給与所得者の扶養控除等の(異動)申告|国税庁

配偶者控除等申告書とは?

配偶者控除等申告書とは?

「配偶者控除等申告書」は、給与所得者が配偶者(特別)控除を受けるために必要な書類です。

配偶者(特別)控除は、給与所得者に控除対象配偶者(給与所得者と生計を一としている、内縁関係は認められないなど条件があります)がいる場合、扶養している側の合計所得金額から一定の金額を差し引くということです。

出典:[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

配偶者控除等申告書が必要な理由

「配偶者控除等申告書」は、控除対象配偶者がいる給与所得者の所得金額から控除する金額を決めるために必要な書類です。

配偶者(特別)控除は、配偶者の所得によって金額が変わるため注意しましょう。給与所得者の合計所得金額が900万円以下で、一般の控除対象配偶者の所得が48万円(年収103万円)以下の場合は、「配偶者控除」が38万円受けられます。

給与所得者の合計所得が1,000万円以下で、配偶者の所得が48万円〜133万円以下であるならば「配偶者特別控除」を受けられます。配偶者特別控除の金額は、配偶者の所得によって段階的に分かれており、最高は38万円です。

出典:[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁

出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

配偶者控除等申告書の提出が必要な対象者

「配偶者控除等申告書」の提出が必要なのは、控除対象配偶者がいる給与所得者です。控除対象配偶者は、民法上の配偶者で、給与所得者と生計を一にしており、年間所得48万円以下という条件があります。

また配偶者特別控除の対象となる配偶者は、民法上の配偶者で、給与所得者と生計を一にしており、年間所得が48万円超〜133万円以下であることを満たしているという条件があります。

どちらの場合にも共通するのは、青色申告者の事業専従者としての給与の支払いをその年に受けていないこと、または白色申告の事業専従者でないことです。

出典:[手続名]給与所得者の基礎控除、配偶者(特別)控除及び所得金額調整控除の申告|国税庁

出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

ダブルワークの場合の提出の有無

年末調整は、1か所の勤務先(メインの勤務先)からのみ受けることができます。給与を2か所以上から受け取っている、ダブルワークの場合も年末調整書類は1か所にしか提出することはできません。メイン以外の勤務先からの給与については、確定申告をする必要があります。

ただし、メインの勤務先(主たる給与の支払者)からの給与のみでは扶養控除などができない場合、メインの勤務先以外の勤務先(従たる給与の支払者)からの給与から、配偶者(特別)控除や扶養控除を受ける方法があります。

それは、従たる給与の支払者、つまりメインでない方の勤務先に「従たる給与についての扶養控除等(異動)申告書」を提出するという方法です。

出典:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収|国税庁

配偶者控除等申告書の記入方法

配偶者控除等申告書の記入方法

配偶者控除等申告書は、基礎控除申告書と所得金額調整控除申告書と1枚の用紙にまとめられており、用紙の右側の部分に配偶者控除等申告書があります。

収入金額と所得金額の違いには注意しましょう。収入金額とは、給与所得者の場合、源泉徴収される前の給与・賞与などの金額のことを指し、所得金額とは収入金額から「給与所得控除額」を引いた金額のことを指します。

出典:各種申告書・記載例 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

出典:No.1195 配偶者特別控除|国税庁

配偶者控除等申告書は2020年度より書式変更

以前は、配偶者控除等申告書は1枚の用紙でした。税制改革により、基礎控除が見直され、新たに所得金額調整控除が創設されたため、2020年度からこれらと一緒に1つの用紙にまとめられることになりました。

出典:所得金額調整控除に関するFAQ(源泉所得税関係)|国税庁(PDF)

給与所得者の情報記入

申告書のいちばん上の欄に、給与所得者本人の氏名・フリガナ、住所といった情報を記入します。左側の給与支払者が記入する部分は勤務先が記入するものです。

勤務先によっては、すでに印刷されていることもあります。

給与所得者の配偶者控除等申告書記入

配偶者の氏名、フリガナ、生年月日、 個人番号(マイナンバー※勤務先によっては記入不要)、 配偶者と住所が異なる場合には、その住所を記入します。

配偶者が外国にいる場合、「非居住である配偶者」欄に○をし、「生計を一にする事実」欄に送金した金額を記入します。

その下に、配偶者のその年の収入、所得金額を記入し、配偶者(特別)控除が受けられるかどうかの判定をします。

出典:各種申告書・記載例 基礎控除申告書兼配偶者控除等申告書兼所得金額調整控除申告書|国税庁

配偶者控除の控除額の出し方

配偶者控除の控除額の出し方

配偶者の給与収入の合計金額から、給与所得控除額を差し引いた結果が配偶者の所得です。

給与所得者本人の所得が900万円以下で、配偶者の所得が48万円以下の場合、一般の配偶者控除額は38万円となります。

出典:No.1191 配偶者控除| 国税庁 

配偶者控除額の金額

配偶者控除額は、給与所得者本人の所得金額によって変わるため注意しましょう。給与所得者本人の所得が900万円以下の場合、一般の配偶者控除は38万円ですが、900万円超〜950万円以下になると一般の配偶者控除は26万円となり、950万円を超えると13万円になります。

また、給与所得者本人の所得が1,000万円以下で、配偶者の所得が48万円超〜133万円以下の場合は「配偶者特別控除」を受けることができます。

「配偶者特別控除」の場合は、給与所得者本人の所得、配偶者の所得金額によってより細かく控除の金額が設定されています。

出典:No.1191 配偶者控除| 国税庁 

出典:No.1195 配偶者特別控除| 国税庁

合計所得金額の求め方

配偶者控除等申告書では、配偶者のその年の合計所得金額を計算する必要がありますが、収入・所得金額は見積り金額で計算しましょう。

まず、配偶者の「合計給与収入」の金額を記入し、次に配偶者の「給与所得」の金額を記入します。例えば給与収入の見積りが140万円の場合、給与所得控除額は162万5千円までは55万円のため、給与所得は140万円-55万円=85万円となります。

配偶者に給与以外の所得がある時はその金額を記入しましょう。給与以外の所得がない人は0です。給与所得と、給与所得以外の所得の合計を計算し記入します。

出典:No.1410 給与所得控除| 国税庁

配偶者控除等申告書の提出は義務なのか?

配偶者控除等申告書の提出は義務なのか?

原則として「扶養控除等(異動)申告書」は、給与所得者は原則提出することとなっています。

では「配偶者控除等申告書」の提出は義務なのでしょうか。配偶者がいない場合、提出は義務ではありませんが、その他の部分、特に「基礎控除申告書」の記入が必要な人は多いでしょう。

配偶者がいない場合「配偶者控除等申告書」の部分は未記入でも構いませんが、年間所得が2,500万円以下の場合、「基礎控除申告書」の部分に記入し、提出しないと基礎控除が受けられないということになります。

また「所得金額調整控除」の対象となる人もいるため、配偶者控除等申告書は記入不要でも、提出する書類であると言えます。

出典:給与所得者の基礎控除申告書 兼 給与所得者の配偶者控除等申告書 兼 所得金額調整控除申告書 の記入方法について |税理士法人タクト

出典:年末調整書類の準備・記載方法・提出までの流れについて解説【令和4年/2022年最新版】|吉田一仁税理士事務所

あわせて知っておきたいそのほかの書類

あわせて知っておきたいそのほかの書類

先ほども触れましたが、「基礎控除申告書」は年間所得が2,500万円以下の人が基礎控除を受けるため、「所得金額調整控除申告書」は、主に年収850万円を超える人が所得金額の調整控除を受けるために必要なものです。

それぞれどういったものなのか、ともに知っておきましょう。

出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)|国税庁

基礎控除申告書

基礎控除申告書は、自分がどの基礎控除を受けられるかを出すために記入するものです。「収入金額」欄に給与収入の合計と、その横の「所得金額」欄に給与所得金額を記入します。給与所得は、給与収入から「給与所得控除額」を引いて求めます。

給与以外の所得(事業所得や雑所得など)がある場合、その合計金額を記入し、給与所得+給与所得以外の所得の合計を記入します。

その金額が2,400万円以下ならば48万円の基礎控除が受けられます。2,400万円超2,450万円の場合32万円、2,450万円超2,500万円以下は16万円と減額されます。2,500万円を超える所得がある場合、基礎控除は受けられません。

出典:No.1199 基礎控除|国税庁

所得金額調整控除申告書

所得金額調整控除は、2020年度から新たに取り入れられた制度で、子育て世代の税負担を軽減しようという目的ではじまりました。

対象となるのは年収850万円超で子ども・特別障がい者である扶養親族などがいる人です。

出典:No.1411 所得金額調整控除|国税庁

配偶者控除等申告書の必要性を理解しよう

配偶者控除等申告書の必要性を理解しよう

配偶者控除等申告書は、基礎控除申告書、所得金額調整控除申告書とともに1枚の用紙になっているものです。民法上の配偶者がいて、給与所得者本人の所得が1,000万円以下、配偶者の所得が48万円を超え133万円以下の場合記入が必要となります。

給与所得者本人の所得が900万円以下の場合、配偶者の所得が48万円以下ならば「配偶者控除」が受けられ、その控除額は一般の控除対象配偶者の場合38万円(老人控除対象配偶者48万円)となります。また配偶者の所得が48万円を超えても、95万円以下ならば「配偶者特別控除」で、38万円の控除が受けられます。

配偶者控除等申告書をはじめ、それ以外の申告書がどんな意味があるのかを知り、控除をきちんと受けられるようにしましょう。

出典:No.1191 配偶者控除| 国税庁

出典:No.1195 配偶者特別控除| 国税庁

※初回公開日:2022年12月27日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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