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退職後に確定申告が必要になるケースとは?年末調整を受けられない時の対応も解説

退職後に確定申告が必要になるケースとは?年末調整を受けられない時の対応も解説

「退職したら確定申告するように言われた。どうして?」
「自分が確定申告が必要かどうか分からない」
このように、退職後確定申告についてどうしたらよいのか分からないということが多いのではないでしょうか。

本記事では年末調整とは何なのか、年末調整を受けるための条件や確定申告が必要になる条件などを解説します。また、確定申告の手続きの流れや確定申告をしないとどうなるのかについても解説しています。

この記事を読むことで、確定申告や年末調整についての知識が得られ、自分が年末調整してもらえるケースか、確定申告が必要になるケースかどうかも分かります。

退職した後の年末調整や確定申告について不安があるという場合は、ぜひこの記事をチェックしてみてください。

年末調整って何?

年末調整って何?

「年末調整」というのは、給与支払い時に源泉徴収された税の年間の合計額と、実際の所得税を一致させるための精算手続きのことです。

会社員の場合は毎月給与から所得税が引かれていますが、これは概算による所得税であって、本来の所得税額とは違います。一年間の所得額が決定した時点で本来の所得税が決まるため、その時点でこれまでに概算で徴収した額と比較し、過不足を精算します。これが年末調整です。

年末調整の対象となるのは勤務先に扶養控除等申告書を提出している人ですが、一部の人は対象になりません。

出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)|国税庁

年末調整を受けるための条件

末調整を受けるための条件

年末調整を受けるには、いくつか条件があります。1年を通じて勤務した人や、中途で就職し12月31日まで勤務している人は、その年の12月末の年末調整の対象になります。

年末調整は年の中途でも行われますが、対象となる人は海外への転勤などで非居住者となった人、死亡し退職した人、心身の障害により退職した人、12月分の給与を受け取った後で退職した人、パートタイマーで退職したが給与総額が103万円以下である場合などです。

ただ、以上にあてはまる人でも年間の給与総額が2,000万円を超える人、災害減免法によりその年に徴収猶予や還付を受けた人は対象となりません。

出典:No.2665 年末調整の対象となる人|国税庁

年の途中で退職して無職になると年末調整を受けられない

年の途中で退職して無職になると年末調整を受けられない

就職して働いていたとしても、年の途中で退職して無職になっていた場合は、年末調整を受けられません。

退職するまで毎月概算の所得税を支払っていた場合には、通常は年末調整で過不足を精算します。しかし年の途中で退職してしまってはこの年末調整が行えないため、所得税を払いすぎもしくは足りていない可能性があります。

すでに支払っている所得税と本来の所得税を一致させるために、年末調整を受けられない場合は、「確定申告」が必要です。

出典:No.1910 中途退職で年末調整を受けていないとき|国税庁

年末調整を受けられるケース

年末調整を受けられるケース

年の途中で勤めていた会社を退職していた場合でも、以下のケースにあてはまる人であれば、年末調整を受けられるでしょう。年末調整を受けられるということは、自分で確定申告をする必要はなくなるということでもあります。

自身がどちらにあてはまるか確認してみてください。

退職後に再就職した場合

仕事を退職した後、他の勤務先に再就職した場合は、再就職先で年末調整を受けられます。

退職後に再就職した場合は、原則、前の勤務先での給与と合わせて年末調整をすることになっています。したがって、前の勤務先で支払っていた所得税についても年末調整の対象となるため、過不足は生じません。

退職後に再就職していた場合、あらためて自分で確定申告する必要はないでしょう。ただし、前の勤務先が交付する源泉徴収票が必要です。

退職後にアルバイトをした場合

退職後に再就職ではなくアルバイトをしていた場合も、アルバイト先が1つであれば年末調整をしてもらえます。再就職していた場合と同じく、新しい勤務先であるアルバイト先が、前の勤務先の分と合わせて年末調整してくれるため、所得税の過不足は生じません。

ただ、新しいアルバイト先で年末調整してもらうためには「給与所得者の扶養控除等(異動)申告書」を提出する必要があります。忘れずに提出しておきましょう。

確定申告が必要なケース

確定申告が必要なケース

原則として、年末調整を受けられる人は所得税の納付が年末調整で完了することから、確定申告をあらためてする必要はありません。しかし中には、確定申告が必要になるケースがあります。

たとえば、会社員だったけれども年の途中に退職して再就職していないケースや、退職した後にフリーランスとして働いていたケース、退職金をもらったケースなどです。

また、この他に退職後にアルバイトを2社以上でしていた場合も含まれます。退職後のアルバイト先が1社であればそちらで年末調整を受けられますが、2社以上あった場合は確定申告が必要になります。

退職後に再就職しない場合

前述したように退職した年に再就職しない場合は、確定申告が必要になります。

もし会社を退職してもその年の間に再就職していれば、再就職先で年末調整をしてもらえます。そのため、支払った所得税の過不足は生じず、確定申告する必要はありません。

所得税の納め過ぎを防ぐためにも、退職した年に再就職しない場合は確定申告をしましょう。

退職後にフリーランスとして収入を得た場合

退職後、その年のうちにフリーランスとして収入を得ていた場合は、年末調整を受けられないため、確定申告をして所得税を支払う必要があります。

これは退職するまでに支払った概算の所得税と、退職後にフリーランスとして得た収入(事業所得)を合算し、合計所得額として所得税額を計算し直し、納税しなければならないためです。

確定申告する際には、給与として得ていた収入は給与所得の欄に記入し、フリーランスとして得た収入は経費を差し引き、事業所得として記入しましょう。

退職金をもらった場合

会社を退職する際に会社に「退職所得の受給に関する申告書」を提出していた人の場合は、源泉徴収だけで課税関係は終了していますので、原則、確定申告する必要はありません。

退職所得の受給に関する申告書を退職時に提出していない人は、所得税及び復興特別所得税を源泉徴収する必要があるため、確定申告する必要があります。

また、退職金をもらった上で、なおかつ医療費控除や寄付金控除などを受けたいような場合もまた、確定申告をする必要が生じます。

出典:退職金と税|国税庁

失業保険は確定申告の対象にならない

失業保険は確定申告の対象にならない

会社を退職した後、ハローワークで手続きをすれば雇用保険の失業給付を受けられます。失業給付も収入ではないかと考えてしまいがちですが、失業給付は確定申告の対象にはなりません。

失業給付を受け取っても、それに対して所得税等の税金がかかることはありませんので、確定申告の必要はありません。

出典:雇用保険法|e-Gov法令検索

確定申告の手続きの流れ

確定申告の手続きの流れ

確定申告をする方法は「自分で申告する方法」と「税理士に依頼する方法」の2つがあります。自分で申告する方が税理士に依頼するよりも費用はかかりませんが、書類の用意や書類への記入を自分でしなければなりません。

また、確定申告を提出する場合も税務署に直接持参する方法だけでなく、e-Taxを利用する方法や郵便または信書便で税務署へ郵送するなどの方法があります。

それでは、実際にどのように確定申告をすればよいのか、確定申告の手続きの流れを見ていきましょう。

確定申告書や源泉徴収票などの書類を用意する

確定申告をするためには、まず「確定申告書」を用意し、「源泉徴収票」等の必要書類を用意する必要があります。主な必要書類は、以下の通りです。

・源泉徴収票(原本)
・医療費の領収書
・社会保険料(国民年金保険料)控除証明書
・生命保険料の控除証明書
・地震保険料の控除証明書
・寄附金の受領書

また、私的年金等を受けている人は支払い金額が分かる書類を用意しましょう。これらの書類を集め、確定申告書に添付して提出する必要があります。

出典:申告手続の流れ|国税庁

必要事項を記入する

確定申告書には「A」と「B」があるため、自分が申告する内容に合わせて選びます。申告書Aは予定納税額のない人で、給与所得・雑所得・総合課税の配当所得・一時所得のみの所得の人が選択します。申告書Bは所得の種類にかかわらず利用できます。

確定申告書に住所や氏名、収入金額や所得金額、税金を計算した額や還付される税金の受け取り場所、住民税に関する事項等の必要事項を記入し、作成して提出しましょう。

還付申告は5年間の期限がある

還付申告は5年間の期限がある

「還付申告」というのは、給与等からあらかじめ概算で所得税が源泉徴収されていたものの、途中で退職等して本来の所得税額よりも支払った額の方が多かった場合に、所得税の還付を受けるために確定申告をすることです。

還付申告書を提出できる期間は確定申告の期間とは関係ありません。所得税を源泉徴収された年の翌年の1月1日から5年間の期限で、提出可能です。

出典:No.2030 還付申告|国税庁

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしないとどうなる?

確定申告をしなかった場合、自分が不利益を被る可能性が高くなります。

個人事業主でも収入額によっては確定申告の義務がない人もいますが、確定申告しないということは収入の証明ができないということです。収入の証明ができず、国民健康保険料の減額を受けることもできません。

また、国税庁の調査で本来確定申告をすべきなのにしていなかった、と分かった場合には「無申告加算税」や「延滞税」を課されることになるでしょう。きちんと確定申告するよりも、高い税金を支払う羽目になる可能性があります。

出典:No.2024 確定申告を忘れたとき|国税庁

退職した会社から源泉徴収票をもらえなかった場合は?

退職した会社から源泉徴収票をもらえなかった場合は?

本来、勤務先は退職者に対して、退職後1ヶ月以内に源泉徴収票を発行しなければなりません。しかし中には、源泉徴収票を発行してもらえない場合もあります。

もし退職した会社に源泉徴収票を要求しても発行してもらえなかった場合は、まずは発行する義務があることを前の勤務先に伝えましょう。

前の勤務先に連絡しても源泉徴収票を発行してもらえなかった場合は、税務署へ「源泉徴収票不交付の届出書」を提出しましょう。この手続きにより、税務署側から源泉徴収票を発行するように指導が入ります。

出典:所得税法 | e-Gov法令検索

出典:[手続名]源泉徴収票不交付の届出手続|国税庁

退職後、確定申告が必要な人は忘れずに手続きをしよう

退職後、確定申告が必要な人は忘れずに手続きをしよう

会社で働く多くの人は、毎年意識せずとも年末調整を受けています。しかし退職した後で、その後にアルバイトをしたりフリーランスとして働いたりした場合には、確定申告が必要になることがあります。

もし確定申告する必要があるのにしなかった場合、税金が加算されてしまいます。この記事を参考に自分が年末調整の対象かどうか、確定申告は必要なのかどうかをあらためて確認し、必要ならばきちんと手続きをしましょう。

※初回公開日:2023年1月23日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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