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収入金額とは?所得金額との違いや、違いを知ることで出来る様になる事も併せて紹介

収入金額とは?所得金額との違いや、違いを知ることで出来る様になる事も併せて紹介

「収入」と「所得」、この2つの言葉はほぼ同じ意味で使われますが、所得税などの計算においては、「収入金額」と「所得金額」はそれぞれ別の意味を持つことをご存知でしょうか。

この記事では、「収入金額」と「所得金額」の意味を説明するとともに「収入金額」の意味を知ると出来るようになる所得控除の申請方法などを紹介しています。

記事を読むことで「収入金額」と「所得金額」の意味の違いを理解し自分の「収入金額」を把握すれば、年末調整や確定申告においてさまざまな所得控除の受け方がわかるようになります。また、適正な所得税額の申告ができるようになるでしょう。

源泉徴収や所得控除の仕組みについて知りたい方や、年末調整で必要になる書類の書き方がよく分からないという方は、ぜひこの記事を読んでください。

収入金額とは?

収入金額とは?

所得税や住民税の計算では、「収入金額」と「所得金額」はそれぞれ別の意味で使われます。

会社に勤務して給与やボーナスなどを受け取っている場合、収入金額とは手取り額のことではなく、源泉徴収税額や特別徴収税額(住民税額)、社会保険料などが天引きされる前の金額のことを言います。

出典:収入金額と所得金額とは、意味が違うのですか?|岡山市
参照:https://www.city.okayama.jp/faq/faq_detail.php?frmId=332

収入金額と所得金額の違い

税金の計算における「所得金額」とは、上述の「収入金額」から必要経費を差し引いた額のことを言います。

会社などに勤務している人の場合は、収入金額から実際の必要経費が差し引かれるわけではなく、収入金額に応じて定められた「給与所得控除額」を差し引いた額が所得金額となります。

出典:収入金額と所得金額とは、意味が違うのですか?|岡山市

収入金額を理解するメリット

収入金額を理解するメリット

「収入金額」という言葉が手取り額や所得金額とは違う意味であると理解し、自分自身の収入金額を把握できるようになると、所得税の計算や年末調整などでさまざまなメリットがあります。

ここでは、収入金額を理解するメリットを3つ紹介します。

年末調整の時に必要な基礎控除申告書を正しく書ける

所得税は基本的に自分で税額を計算し、自主的に申告して納付することになっていますが、会社などに勤務している人の所得税については、給与を支払う側が所得税額を計算し、給与から差し引いて国に納付するという「源泉徴収」という制度がとられます。

年末調整とは1年間に源泉徴収された税額の合計額と、その年に支払うべき税額を一致させる手続きのことで、勤務先に提出する書類が「基礎控除申告書」です。

基礎控除申告書には、その年に受け取ったすべての給与の収入金額を書き、それから給与所得の所得金額を自分で計算しなければいけません。そのため、基礎控除申告書を正しく書くには、自分の給与の収入金額を把握しておく必要があります。

出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)|国税庁

被扶養者が配偶者控除を受けられる目安がわかる

所得税の計算では、一定の要件に当てはまる場合に、所得の合計金額から一定の額を差し引く「所得控除」という制度があります。所得税額は、本来の所得金額から控除によって差し引かれた後の金額を基準に計算されます。

所得控除にはさまざまな種類があり、その1つに「配偶者控除」があります。納税者に一定の要件を満たす配偶者がいる場合、一定の金額の所得控除が受けられるものです。

納税者本人の所得額が900万円以下の場合、配偶者の年間の合計所得金額が48万円以下であることが配偶者控除を受けられる条件の一つです。

配偶者の収入が給与のみの場合、給与収入が103万円以下の場合にこの条件を満たします。そのため、配偶者の収入金額が分かっていれば、所得金額を計算しなくても配偶者控除が受けられるかどうかの目安にできます。

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁

源泉徴収票に書かれていることがわかる

源泉徴収票は、勤務先から配布されるその年の源泉徴収税額などが記載された書類のことです。

源泉徴収票に書かれている金額のうち「支払金額」が収入金額を、「給与所得控除後の金額」が所得金額を表します。

そのことを理解したうえで源泉徴収票に目を通すと、自分の収入がどれくらいなのか、そこからどのくらいの金額を所得税として納めているかなどを把握できるでしょう。

基礎控除申告書とは

基礎控除申告書とは

基礎控除申告書とは、年末調整で「基礎控除」の適用を受けるために、勤務先に提出する申告書です。

基礎控除とは、1年の合計所得金額が2500万円以下の場合に受けられる控除で、合計所得金額に応じて最大48万円が控除されます。

基礎控除申告書は、令和2年から新たに設けられた申告書です。令和元年までは、合計所得金額に関わらず38万円の基礎控除を受けられたため、申告は必要ありませんでした。

令和2年以降は、基礎控除申告書の提出を忘れると基礎控除を受けられなくなるため、注意しましょう。

出典:給与所得者(従業員)の方へ(令和4年分)|国税庁

基礎控除申告書にある記入項目

基礎控除申告書にある記入項目

ここからは、基礎控除申告書にある記入項目とその書き方について紹介します。

この記事だけでなく基礎控除申告書の裏面にある説明も参考に、間違えないように記入しましょう。なお、記入の際には源泉徴収票や給与支払明細書など、収入金額が分かるものを用意しておいてください。

給与所得の収入金額

「給与所得」の「収入金額」欄には、1年間の給与の収入金額を記入します。ただし、年末調整の準備をしている段階では、その年の給与の支払いがまだ終わっていないため、最近の給与支払明細書や源泉徴収票などを参考に見積もった額を機記入しましょう。

2か所以上から給与を受け取っている場合は、全ての給与の収入金額を合計して記入します。

給与所得の所得金額

「給与所得」の「所得金額」欄には、「収入金額」欄に記入した金額を基に計算した給与所得を記入します。

給与所得の計算方法は、申告書の裏面に掲載されています。収入金額に応じて計算式が変わるため、注意しましょう。

給与所得以外の所得の合計額

給与以外の収入がある場合は「給与所得以外の所得の合計額」の欄にその所得金額の合計を記入します。収入金額をそのまま記入するのではなく、必要経費や各種控除額を差し引いた所得金額を記入する点に注意してください。

なお、「給与所得以外の所得」には、以下のようなものがあります。

・事業所得(継続的に行う事業で得た所得)
・雑所得(公的年金や原稿料、印税、利子など)
・配当所得(株や投資信託の配当など)
・不動産所得(不動産の売買や貸付けなどによる所得)
・退職所得(退職手当など)
・譲渡所得(不動産や骨とう品、ゴルフ会員権などの譲渡による所得)
・山林所得(所有期間5年以上の山林の伐採や譲渡による所得)
・一時所得(生命保険の一時金や懸賞当せん金、競馬・競輪の払戻金など)

あなたの本年中の合計所得金額の見積額

「給与所得の所得金額」と「給与所得以外の所得金額」にそれぞれの金額を記入したら、それらを合計して「あなたの本年中の合計所得金額の見積額」欄に記入します。

ここに記入した金額を基に基礎控除額を計算します。すぐ下にある「控除額の計算」の「判定」欄の、該当する箇所にチェックを入れましょう。その右に書かれている金額が控除額ですので、右下の「基礎控除の額」欄に記入します。

なお、配偶者控除か配偶者特別控除を受ける場合は、「区分I」欄に、「控除額の計算」の「判定」欄の判定結果に対応する記号(A・B・C)を記入しておきましょう。

配偶者控除とは

配偶者控除とは

「配偶者控除」とは納税者の所得金額が1000万円以下で、かつ所得税法上の控除対象配偶者がいる場合に受けられる控除です。

控除対象配偶者とは、その年の12月31日時点において、次の4つの要件のすべてに当てはまる人のことを言います。

・民法の規定による配偶者であること(内縁の夫・妻は対象外)
・納税者と生計を一にしていること
・年間の所得合計金額が48万円以下であること(所得が給与のみの場合は、年間の給与収入が103万円以下であること)
・青色申告者の事業専従者として、その年に一度も給与の支払いを受けていないこと。または、白色申告者の事業専従者ではないこと

年末調整で配偶者控除を適用するには、配偶者控除等申告書を勤務先に提出する必要があります。配偶者控除等申告書は、前述の基礎控除申告書と一体化しています。

なお、夫婦の双方がお互いに配偶者控除の適用を受けることはできないため、夫婦共働きの場合などの場合は、どちらか一方の配偶者のみ控除を受けられます。

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁

配偶者控除を受けられる金額

配偶者控除額の金額は、控除を受ける納税者本人の合計所得金額と、控除対象配偶者の年齢により変わります。なお、控除対象配偶者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人を「老人控除対象配偶者」と言います。

納税者本人の合計所得金額が900万円以下の場合、配偶者控除額の金額は38万円(老人控除対象配偶者の場合は48万円)です。

納税者本人の合計所得金額が900万円を超え950万円以下の場合は控除額は26万円(老人控除対象配偶者の場合は32万円)、950万円を超え1000万円以下の場合は13万円(老人控除対象配偶者の場合は16万円)となります。

出典:No.1191 配偶者控除|国税庁

源泉徴収票とは

源泉徴収票とは

前述の通り、源泉徴収票とは1年間の収入や源泉徴収された所得税額などを記載した書類のことです。その他にも社会保険料の金額や、さまざまな控除の金額などが記載されています。

源泉徴収票は年末調整の後に発行されるため、12月分の給与明細と一緒に勤務先から渡されることが一般的です。また、退職した場合は、最後の給与が確定してから1か月程度で発行されます。

源泉徴収票はローンを組む際など収入証明が必要な時や、確定申告を行う時、転職の時などに必要となる書類のため大事に保管しておきましょう。万一紛失した場合は、勤務先に申請すれば再発行してもらえます。

その他の控除

その他の控除

給与による収入を得ている人が受けられる控除には給与所得控除のほか、「所得金額調整控除」や「給与所得者の特定支出控除」というものがあります。

ここでは、控除が受けられる条件や控除額、申請のしかたなどについて紹介します。

所得金額調整控除

所得金額調整控除には「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」と「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」の2種類があります。

「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」は、給与等の収入金額が850万円を超える人で、本人が特別障害者であるか、扶養親族に23歳未満の人か特別障害者がいるか、生計を一にする配偶者が特別障害者である場合に受けられる控除です。

この控除の控除額は、「(給与等の収入金額-850万円)×10%」(1円未満の端数切り上げ)で求められます。ただし、収入金額が1000万円を超える場合でも計算上では1000万円とするため、控除額は最高で15万円となります。

年末調整でこの控除を適用するには勤務先に所得金額調整控除申告書を提出する必要があります。所得金額調整控除申告書は前述の基礎控除申告書や配偶者控除申告書と一体化しています。

「給与所得と年金所得の双方を有する者に対する所得金額調整控除」は、給与所得と公的年金に係る雑所得の合計が10万円を超える場合に受けられる控除です。

この控除の控除額は「給与所得(10万円超の場合は10万円)+公的年金に係る雑所得(10万円超の場合は10万円)-10万円」で求められます。

なお、上記の「子ども・特別障害者等を有する者等の所得金額調整控除」が受けられる場合、その適用後の給与所得からの控除となります。

また、この控除は年末調整で適用される控除には含まれていないため、控除を受ける際は確定申告が必要です。

出典:No.1411 所得金額調整控除|国税庁

特定支出控除

特定支出控除(給与所得者の特定支出控除)とは、給与所得者がある特定支出をした場合、その合計額が適用判定の基準となる金額を超えるときに受けられる控除です。

適用判定の基準となる金額は、その年の給与所得控除額の2分の1です。控除額は、特定支出の額から適用判定の基準となる金額を引いた額となります。

ここで言う特定支出とは、勤務先が必要と認め証明した以下の支出を指します。

・通勤費
・出張などに伴う旅費
・転勤に伴う転居費
・職務に必要な知識や技術を得るための研修費
・職務に必要な資格を取るための資格取得費
・単身赴任などで、勤務地や居所と自宅を行き来するための旅費(帰宅旅費)
・図書費・衣服費・交際費・接待費などの必要経費(合計65万円まで)

なお、この控除を受ける際には確定申告を行う必要があります。

出典:No.1415 給与所得者の特定支出控除|国税庁

収入金額を理解し控除の手続きを円滑にできるようになろう

収入金額を理解し控除の手続きを円滑にできるようになろう

所得税などの計算において「収入金額」と「所得金額」はそれぞれ別の意味を持つ言葉です。年末調整や確定申告においては、これらの意味をよく把握しておきましょう。

また、所得税の計算では一定の額を所得金額から差し引けるさまざまな種類の「控除」が利用できます。

どの控除が利用できるか正しく理解し、控除の手続きをスムーズに進めるためには、自分の給与の「収入金額」がいくらなのかをしっかり理解する必要があります。

※初回公開日:2022年12月20日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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