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住宅借入金等特別控除申告書とは?新築と中古の適用要件や書き方について紹介

「住宅ローンで家を購入したら、住宅借入金等特別控除が受けられるって聞いたけど本当?」
「住宅借入金等特別控除は中古住宅を買っても使えるの?」
「住宅借入金等特別控除を利用するためにはどうしたら良いの?」
住宅借入金等特別控除を利用しようとしている方の中には、このようなたくさんの疑問があるのではないでしょうか。

この記事では、住宅借入金等特別控除の概要や適用要件、利用するための流れ、申告方法などを紹介しています。記事を読むことで、住宅借入金等特別控除の基礎知識や申告方法を身につけられるため、スムーズに利用できるでしょう。

住宅ローンを利用して住宅を購入した方はもちろん、これから住宅の購入を考えている方も、ぜひこの記事を参考にしてください。

そもそも住宅借入金等特別控除申告書とは?

そもそも住宅借入金等特別控除申告書とは?

住宅借入金等特別控除申告書(年末調整のための(特定増改築等)住宅借入金等特別控除証明書兼給与所得者の(特定増改築等)住宅借入金等特別控除申告書)とは、住宅借入金等特別控除を受けるために必要な書類のことです。

住宅借入金等特別控除とは、住宅ローンを利用して個人が住宅を新築、購入、増改築した場合などで、一定要件を満たした場合に受けられる控除のことを言います。年末の住宅ローン等の残高の合計額を基に計算された金額を、所得税額から控除可能です。

住宅ローンで住宅を新築したり、購入したりした方は、住宅借入金等特別控除を適用できるかどうかチェックしましょう。

出典:住宅ローン控除を受ける方へ:令和3年分 確定申告特集|国税庁

住宅借入金等特別控除の基礎知識

住宅借入金等特別控除の基礎知識

住宅ローンを借りて新築の住宅を購入すれば、誰でも住宅借入金等特別控除を受けられるわけではありません。住宅借入金等特別控除を受けるためには一定の要件を満たす必要があるため注意しましょう。

また、控除期間や控除額にも決まりがあり、事前に確認しておくことをおすすめします。

ここからは、住宅借入金等特別控除の適用要件や控除期間、控除額といった基礎知識を紹介していきます。

適用要件

新築住宅を購入した場合と中古の住宅を購入した場合とでは、住宅借入金等特別控除の適用要件が異なるということを知らない方もいるでしょう。

以下では、新築住宅の場合と中古住宅の場合の詳しい適用要件を紹介していきます。

新築住宅の場合

新築住宅を購入した方は、以下の条件を満たすことで住宅借入金等特別控除を受けられます。

・住宅の新築、取得の日から6ヶ月以内に入居している
・控除を受ける年の12月31日まで継続して居住している
・床面積が50平方メートル以上の住宅で、その2分の1以上が自己の居住用である(特例特別特例取得の場合、床面積40平方メートル以上50平方メートル未満で、2分の1以上が自己の居住用である)
・特別控除を受ける年の合計所得が3,000万円以下(特例特別特例取得の場合、合計所得金額が1,000万円以下)
・借入期間が10年以上の住宅ローンを利用している(親族などから借入は不可)
・居住年および前後2年の間(令和4年1月1日以後は、居住年およびその前2年、その後3年の間)に、譲渡所得の課税の特例の適用を受けていない
・贈与による取得や取得時及び取得後も生計を一にする親族や特別な関係にある人からの取得でないこと

なお、2つ以上の住宅を持っている場合、住宅借入金等特別控除を受けられるのは、主に居住用にしている住宅1つだけです。

出典:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

中古住宅の場合

中古住宅の場合、新築住宅の要件に加え、以下のような要件を満たす必要があります。

・建築後使用されたものである
・家屋建築日から取得日までの期間が20年以下である(耐火建築物の場合、建築日から取得日までの期間が25年以下)
・耐震基準に適合する建物である

なお、要耐震改修住宅でも取得日までに耐震改修を行うことを申請し、居住する日までに耐震改修を行い「耐震基準適合証明書」などにより一定の証明ができれば控除を受けられます。

出典:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

控除期間と控除額の計算方法

住宅を居住用に供した年によって、住宅借入金等特別控除が適用される期間、控除額に決まりがあります。

令和3年1月1日~令和4年12月31日の間に居住用に供したものは、控除期間が13年です。

控除額は1年目~10年目が年末残高等(借入金の年末残高と取得対価額のいずれか少ない方)×1%(限度額40万円)、11年目~13年目が年末残高等(上限4,000万円)×1%か{住宅取得等対価の額-消費税額(上限4,000万円)}×2%÷3のどちらか少ない方となっています。

住宅を取得する前に、控除期間と控除額の計算方法についてもしっかり理解しておきましょう。

出典:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅借入金等特別控除を利用する方法

住宅借入金等特別控除を利用する方法

ここからは、住宅借入金等特別控除を利用する方法を説明していきます。

住宅借入金等特別控除の利用方法は1年目と2年目以降で異なるため注意が必要です。また、新築住宅と中古住宅とでは必要になる書類も異なるため、事前にチェックしておいた方が良いでしょう。

1年目の場合

住宅借入金等特別控除を受けるためには、1年目はすべての方が確定申告しなくてはいけません。普段、年末調整で対応している会社員などの給与所得者も確定申告する必要がありますので、注意しましょう。

住宅借入金等特別控除(還付申告)のみの方は、対象の住宅に住みはじめた翌年の1月1日から確定申告可能です。それ以外の方は、2月16日~3月15日の確定申告の受付期間に忘れずに申告しましょう。

確定申告に必要な書類は、新築住宅と中古住宅の場合では異なります。以下では必要書類を詳しく紹介していきますので参考にしてください。

出典:【確定申告・還付申告】|国税庁

出典:No.2030 還付申告|国税庁

新築住宅の場合に必要な書類

新築住宅の場合には確定申告書に加え、以下の必要書類を準備して確定申告してください。

・(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書
・連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書(連帯債務がある方)
・借入金の残高証明書
・登記事項証明書など床面積がわかる書類
・工事請負契約書または売買契約書の写し

土地購入にかかる借入金の控除を受ける方は、登記事項証明書など土地の取得年月日がわかる書類や売買契約書など土地の取得対価がわかる書類が必要です。

さらに、自治体などから補助金を受けている方は補助金等の額を証明する書類が必要になりますし、贈与の特例を受けている方は住宅取得等資金の額を証する書類の写しが必要になります。

出典:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

中古住宅の場合に必要な書類

中古住宅の場合は確定申告書と「新築住宅の場合に必要な書類」の項目で説明した書類に加え、耐震基準に適合していることがわかる書類が必要です。

取得した中古住宅が耐震基準に適合する建物である場合、以下いずれかを準備してください。

・耐震基準適合証明書
・建設住宅性能評価書の写し
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約にかかる付保証明書

取得した中古住宅が要耐震改修住宅である場合、耐震改修を行うことを申請し、居住までに耐震工事が完了し耐震基準を満たしたということや、耐震改修年月日、工事にかかった金額がわかる以下のような書類が必要です。

・建築物の耐震改修計画の認定申請書の写しと耐震基準適合証明書
・請負契約書の写し
・耐震基準適合証明申請書の写し
・建設住宅性能評価申請書の写し
・既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約の申込書の写しと保険契約締結済みとわかる書類

出典:No.1214 中古住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

2年目以降の場合

2年目以降は、給与所得者の方は年末調整で住宅借入金等特別控除の適用を受け、それ以外の方は前年と同様に確定申告してください。

給与所得者の方は、税務署から送付される「住宅借入金等特別控除申告書」と「借入金の残高証明書」を勤務先に提出して年末調整を受けましょう。

それ以外の方は、必要事項を記入した確定申告書に「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書」(必要な方は(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書も)と「借入金の残高証明書」を添付して申告してください。

住宅借入金等特別控除を利用する流れ

住宅借入金等特別控除を利用する流れ

ここからは、住宅借入金等特別控除を利用する流れを紹介していきます。手続きの流れについて理解しておくとことで、スムーズに住宅借入金等特別控除を受けられるため、ぜひ参考にしてください。

必要な用紙を用意する

まず、必要な用紙を用意しましょう。

住宅借入金等特別控除申告書は、1年目の確定申告を終えた後(確定申告した年の10月ごろ)に税務署から届きます。それを年末調整のときに勤務先に提出してください。

住宅借入金等特別控除を受けられる残りの年数分(合計13年の控除が受けられる場合には、12年分)がセットで送られてきます。1枚ずつ提出していくことになるため、失くさないように注意してください。

借入金の年末残高等証明書は、10月ごろに住宅ローンの借入を行っている金融機関から送られてきます。9月以降に繰り上げ返済すると、年末の残高が変わり控除額にも変更が生じてしまうため、金融機関に再発行を依頼してください。

住宅借入金等特別控除申告書を書く

次に、住宅借入金等特別控除申告書に必要事項を記入していきます。記入前に必ず、年末調整しようとしている年の分の住宅借入金等特別控除申告書であるか確認してください。

はじめに、給与の支払者の名称(会社名)・給与の支払者の所在地(会社の住所)・自分の氏名・フリガナ・住所・続柄を記入します。税務署長名はわからなければ空欄で構いません。法人番号は勤務先の担当者が記入するため、未記入で大丈夫です。

次に、借入金の残高証明書等を見ながら、控除額・借入金の年末残高・家屋や土地の取得対価の額・住宅借入金等特別控除額などを記入していきます。

最後に、年間所得の見積額を記入してください。その際、注意したいのが収入ではなく、所得額を記入するということです。給与所得控除を差し引いた後の所得額を記入してください。

完成した申告書のコピーや写真を撮る

住宅借入金等特別控除申告書が完成したら、コピーや写真を撮っておきましょう。

借入金の残高や控除額などは変わってくるため、前年分をそのまま書き写すことはできませんが、参考にしながら記入できることで翌年以降の年末調整がスムーズになります。

住宅の入手方法別にみる住宅借入金等特別控除の申告方法

住宅の入手方法別にみる住宅借入金等特別控除の申告方法

住宅を入手する場合、家族の誰か1人がローンを組むこともあれば、親族が連帯してローンを組むこともあるでしょう。入手方法によって申告に必要な書類などが変わってくるため、ここからは、住宅の入手方法別にみる住宅借入金等特別控除の申告方法を紹介していきます。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用した場合

住宅は非常に高価なものですから、親族から資金提供を受けて住宅を取得するという方もいるでしょう。直系尊属からの贈与を受け住宅を取得し一定の要件を満たす場合、贈与税が非課税になる制度があります。

住宅取得等資金の贈与税の非課税制度を利用した場合、年末の借入金の残高と住宅取得対価額から贈与額を差し引いた額のどちらか少ない方が、控除額計算における基礎金額になるという点に注意しなくてはいけません。

住宅取得対価額をそのまま使用してしまうと誤りが出てしまいます。必ず贈与額を差し引くようにしてください。

出典:住宅を新築又は新築住宅を取得した場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

出典:No.4508 直系尊属から住宅取得等資金の贈与を受けた場合の非課税|国税庁

連帯債務がある場合

夫婦や親子など、誰かと連帯して住宅ローンを組む場合もあります。

連帯債務がある方は1年目の確定申告の際に「(付表)連帯債務がある場合の住宅借入金等の年末残高の計算明細書」という書類も提出しなくてはいけません。申告者本人と連帯債務者の持ち分割合や持ち分に係る取得対価額、自己資金負担額など必要事項を記入して提出してください。

出典:No.1212 一般住宅の新築等をした場合(住宅借入金等特別控除)|国税庁

住宅ローンの借り換えをした場合

住宅ローンを返済中、より低い金利の住宅ローンへと借り換えを行うこともあります。住宅ローンの借り換えをした場合、新しい住宅ローンの返済期間が10年以上あれば、住宅借入金等特別控除の適用が可能です。

住宅ローンの借り換えを行った場合、控除額計算のための基礎金額の算出に注意しなくてはいけません。

新たな住宅ローンの借入額よりも借り換え前の住宅ローン残高が高い場合には、新たな住宅ローンの年末残高が基礎金額になります。

借り換え前の当初の住宅ローンの残高よりも新たな住宅ローンの借入金額が高い場合、「(新たな住宅ローンの年末残高)×借り換え前の住宅ローン残高÷新たな住宅ローンの借入額」で算出されたものが基礎金額となるため注意しましょう。

出典:No.1233 住宅ローン等の借換えをしたとき|国税庁

住宅借入金等特別控除申告書を正しく作成しよう

住宅借入金等特別控除申告書を正しく作成しよう

ここまで、住宅借入金等特別控除について紹介してきました。

1年目と2年目で必要な書類や手続きの方法が違ってくるため、ややこしく、面倒に感じる方もいるでしょう。面倒な手続きかもしれませんが、住宅借入金等特別控除が適用されれば節税につながります。正しい手続き方法を理解して忘れずに申告しましょう。

※初回公開日:2023年1月24日

監修:キャリテ編集部【株式会社エーティーエス】

株式会社エーティーエスが運営する本サイト「キャリテ」では、みなさまの「キャリア」「働く」を応援する記事を掲載しています。みなさまのキャリアアップ、より良い「働く」のために、ぜひ記事の内容を参考にしてみてください。

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